Back to Article
1999 May
 
デザインプレックス
 No.25掲載記事より
      文・岩吉 隆悠

ロドニ−との出会い

87年頃からニューヨークに住んでいた僕にとって、ロドニーは大好きなアーティストのひとりだった。当時、ロドニーはニューヨークを拠点に全米のミュージアムやギャラリーで展覧会を行うファインアーティストで、自分の意志によりペインティング、彫刻作品を創作していた。そんなロドニーの作品に触れたとき、艶やかで独特の色づかいと際立つ楽しさがまず目を引き、その圧倒的なパワーに何か特別な感覚を覚えた。どんな人物であるかもまったく知らないまま、勇気を振り絞りロドニーに会いに行くことに決めたのは89年のこと。ソ−ホ−の石畳みが小粋なストリートに面するロケーションにスタジオはあった。玄関のブザーを押すと、爽やかで純朴な青年が現れ、初めて会う僕に対して明るい挨拶とともに握手をしてくれる。スタジオ内に通され、ロドニーが魅力溢れる人物であるという安堵感を味わう暇もなく、驚きが僕を襲う。そこはまるでロドニ−の「アート天国」といったおもむきで、創作途中の巨大なキャンパスや彫刻作品が壁やフロアに溢れ、「これこそニューヨークのアーティストのスタジオだ!」といいたくなるようなスペースだ。スタジオの大きさにも驚いた。天井が高い上、ずっと奥の方まで部屋がつながっており、完成された絵画が壁に整然と飾ってあり、几帳面な性格の持ち主であることもうかがえる。また、スタジオにある機材には目を見張るものがある。町工場にしかないようなドリル工作機、電動ノコギリ、防塵マスク・・・。かと思えば、キーボードが数台、個室にはMacIIciがあり、グラフィックやインタラクティブな作品も制作している。とにかく、ロドニー自身の魅力と作品の迫力とスタジオの雰囲気に酔ってしまった僕は、この瞬間にあることを心で決めた。

 

ロドニーとの出会い
この感動をみんなに
アートと音楽の狭間で揺れる
一人でコツコツ創るのが好き
「ウゴウゴルーガ」で一躍日本で認知
「商品化」されてもなお魅力溢れる作品