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1999 May
 
デザインプレックス
 No.25掲載記事より
      文・岩吉 隆悠

この感動をみんなに知ってもらいたい

この感動をみんなにも知ってもらいたい、分かちあいたい、ロドニーの素敵なアートをひとりでも多くの人に触れてもらいたい---気持ちが高揚し、彼と一緒に何かのプロジェクトを実現させようと固く決意した。そうして、何度か彼のスタジオに足を運ぶうち、絵画や彫刻作品を美術館に出展している「ファインアーティスト」である彼に突拍子もない相談を持ちかけた。 --コマーシャルな仕事のために作品を制作する気はある?高鳴る鼓動を押さえながら覚束ない英語で聞いてみる。 --Sure! 一言が即座にかえってきた。それは驚くほど速い返事だった。ということで、ロドニーと僕のチームはスタートを切ることになった。「さぁ、一緒に仕事を始めるからにはもっとロドニーのことを知らなくては」 彼のこれまでの経歴を尋問のように尋ね続けた。そこで、ハッキリしたことは彼は天分の才能を持っている、ということだった。彼が行ったてきたどの展覧会を見ても明確なコンセプトとストーリーがあり、それに立脚した作品のひとつひとつは生き生きしている。彼の作品はペインティング、ドローイング、彫刻、インスタレーション、CG静止画、動画まで実に幅広い。アシスタントこそ一人いるが、どの作品も基本的にロドニーが一人で制作しているようなものだ。華奢な身体のいったいどこにこのようなインテリジェンスなパワーが秘められているのか不思議に思うこともしばしばある。彼は85年頃にMacに出会い、90年にはMacで制作した作品を初めて公表した。オブジェの彫刻作品の中にMacをセッティングし、彼のインタラクティブ作品を見せるというもの。このインタラクティブ作品はロドニ−自身がプログラム(厳密にはDirectorのスクリプト)を組み、音楽もロドニーが自ら作曲したもの。何でも器用にこなしてしまう彼だが、そのすべての完成度の高さに驚いてしまうばかりである。コンピュータのプログラミングや音楽まで、ファインアーティストであるロドニーが手がけられるのか、なぜ彼が何でもできてしまうかは、学生時代を振り返ることで少し明らかになる。

 

ロドニーとの出会い
この感動をみんなに
アートと音楽の狭間で揺れる
一人でコツコツ創るのが好き
「ウゴウゴルーガ」で一躍日本で認知
「商品化」されてもなお魅力溢れる作品