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1999 May
 
デザインプレックス
 No.25掲載記事より
      文・岩吉 隆悠

アートと音楽の狭間に揺れる

彼はニューヨークのスクール・オブ・ヴィジュアル・アーツで絵画、彫刻を学んでいた。その当時ロドニ−はずっとパンクロック(割とソフトなものだが)のバンドを組んでいて、キーボードを担当していた。アマチュアバンドでありながら、在籍していたバンドは、有名なライヴハウスであるBottom LineやCGGBでライヴを行ったことのあるほどの実力。現在のロドニーのスタジオにはその当時(80年代初め)に使っていたキーボード3、4台やミキサーがまだ実在していて、懐かしのムーグまで良いコンディションのまま置かれてある。絵画と音楽の両方の活動を積極的に行っていたわけだが、将来どちらの道を選ぼうかと悩んでいるさなか、大学を卒業する直前に開催した彼の展覧会で作品が飛ぶように売れたことで「それじゃアートの世界で活動をしよう」と決めたほど音楽には深く関心を寄せていたのだ。話は前後するが、このようにキーボード奏者だったため、何かと複雑な機材に慣れ親しんでいたロドニ−がMacに出会ったのは自然の流れだった。何の抵抗もなくMacを使い始め、当初は自分のオモチャとして絵を描いたり、アニメーションを作ったりしていた。趣味としてMac で作品を作る内に5年という月日が流れ、かなりのCG作品がたまったところで、Macを組み込んだオブジェ作品「Wonder Window」を完成させた。この作品を90年に開催した個展「Cosmic Adhesive」に出展し、彼のCG作品が初めて世に出た。このロドニーならではのミックスメディアのアート作品はロサンゼルスのアートコレクターが購入し、ロドニーのニューヨークのスタジオからコンピュータ通信によりアートコレクターの所有する「Wonder Window」にCG作品を転送するシステムになっていた。それはコンピュータ・テクノロジーを完全に自分のものにし、アート作品へと昇華させたものだった。

 

ロドニーとの出会い
この感動をみんなに
アートと音楽の狭間で揺れる
一人でコツコツ創るのが好き
「ウゴウゴルーガ」で一躍日本で認知
「商品化」されてもなお魅力溢れる作品